- 自分は映画『マトリックス』が好き。でも、人間が“電池”になる世界は選ばない
- AIは手段であって、目的ではない。人間中心の社会である限り、エンジニアの仕事は消えない
- 消えるのは「コーディング」という作業。市場価値は「AIに何をやらせるかを設計する」へ移る
正直、自分は『マトリックス』が好き
唐突ですが、白状します。自分は映画『マトリックス』が好きです。人間が機械に支配されて、自分が培養槽の中の“電池”だと気づかないまま生きている、あの世界。フィクションとしては、最高に面白い。
でも、現実をあっちに進めたいかと聞かれたら、答えははっきりノーです。AIが主役で、人間がその電力源になる社会。自分は、そんな未来を作りたくないし、なってほしくありません。
AIは手段であって、目的ではない
自分の立場はシンプルです。AIはあくまで手段で、目的ではありません。主役は、あくまで人間であってほしい。AIは、人間がやりたいことを増やすための道具であってほしいと思っています。
この前提に立つと、「AIで仕事がなくなる」という話の見え方も、変わってきます。
人間が“電池”になる未来は、選ばない
人間中心の社会を選ぶなら、結論はこうです。人間は働きます。労働は消えません。そして、エンジニアという仕事も消えません。
“電池”になるというのは、自分で考えるのをやめて、ただ供給されるものに従って生きること。AIに全部明け渡したら、それに近づきます。でも、AIを“率いる側”に回れば、話は逆になります。
消えるのは“コーディング”であって、エンジニアではない
では、何が変わるのか。いちばん大きいのは、“コードを書く”という作業です。ここはAIがどんどん巻き取っていきます。自分自身、会社の社内システムをAIエージェントと一緒に作ってきて、それを毎日実感しています。
でも、それでエンジニアが要らなくなるわけではありません。コードを書く作業が減った分、“何を作るか”“どう任せるか”を考える仕事の比重が上がります。エンジニアという職能は、中身を入れ替えながら残っていきます。
どっちのピルを飲むか:市場価値はどこへ移るのか
『マトリックス』に、赤いピルと青いピルの場面があります。心地いい夢の中に留まるか、現実を直視するか。エンジニアのキャリアも、いま同じ分かれ道にいると思っています。
“コードを速く書く”力にしがみつくのは、青いピルです。気持ちよくても、その価値はAIに溶かされていきます。市場価値は、こっち側(赤いピル)に移ります。
| これまで価値だったもの | これから価値になるもの | |
|---|---|---|
| 速くコードを書く | AIに“何を作るか”を渡せる | |
| 仕様どおりに実装する | 業務を言語化して、AIに翻訳できる | |
| 1人で全部抱える | AIと協働し、任せる/握るを設計できる | |
| 手を速く動かす | 壊さない判断(どこを人が握るか)ができる |
どれも、コーディングそのものとは少し違う力です。でも、これからAIと一緒に働く現場で効くのは、間違いなくこっち側です。
市場価値を上げる、3つの動き方
抽象論で終わらせないために、具体的に書きます。自分が、これから伸びると思う動き方は3つです。
1. AIへの“指示”を設計できる──「これ作って」で終わらせず、何を・どの粒度で・どう確認させるかを設計する。ここが曖昧だと、AIは迷走します。
2. 業務を言語化できる──AIに任せるには、業務やデータ構造を言葉にできることが前提です。コードより、この“翻訳”ができる人が現場で強い。
3. 任せる範囲と握る範囲を設計できる──全部AIに任せるのでも、全部自分でやるのでもない。壊していい所と、人が最後に判断すべき所を分ける。自分はこれを“門番”と呼んでいます。
日本AIセンターでは
自分たちは、これを会社ごと実践しています。代表の自分がAIエージェントを率いて社内システムを内製し、エンジニアもAIを使う前提で働く。AIに明け渡すのではなく、AIを率いる側に立つ。その考え方はAIネイティブSESとは何かに整理しました。
AIで会社を動かす現場を、一緒に作ってくれるエンジニアを探しています。世界を“マトリックス”にするつもりは、ありません。
よくある質問
