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SESエンジニアは、AIに淘汰されるのか。

「AIでエンジニアの仕事はなくなる」という話は、SESの現場にいる人ほど不安に聞こえるはずです。現場で見えている現実は「エンジニアが消える」ではありません。働き方の一部が消える。何が消えて、何が残り、どうすれば残る側に回れるのかを書きます。

キャリア / AI×SES2026.07.21約5分で読めます#SES#生成AI#キャリア#Claude Code
— この記事でわかること —
  • 淘汰されるのは「エンジニア」ではなく、指示されたコードを書くだけ・手順をなぞるだけの働き方
  • AIは仕事を奪う前に、まず見積もりの前提を壊す。作業時間が価値の単位である人月の世界では、これが一番効く
  • 生き残る経路は3つ。AIが使える現場を選ぶ/コーディングエージェントを「使う側」に回る/工程の上流に出る

「仕事がなくなる」の解像度を上げる

まず、雑な不安を分解します。AIに置き換わるのは「職業」ではなく「タスク」です。SESの現場のタスクで言えば、仕様書の通りにコードを書く、テストケースを消化する、ドキュメントを転記する——この種の「決まったことを正確になぞる仕事」は、Claude CodeやCodexのようなコーディングエージェントがすでに巻き取り始めています。

これは予測ではなく、自分の現場の体感です。実装だけの作業なら、スクラッチ開発と比べて速度が文字通り桁で変わる。その実録は別の記事に書きました。1ヶ月かかっていた規模が2〜3日になる世界で、「コードを書く時間」を売る仕事の値段がどうなるかは、考えれば分かります。

消えるのは職業ではなくタスク。なぞる仕事はAIへ、判断と責任は人へ移る。
消えるのは職業ではなくタスク。なぞる仕事はAIへ、判断と責任は人へ移る。

先に壊れるのは、人月の値段の根拠

多くの人は「AIが仕事を奪う」瞬間を想像しますが、実際に先に起きるのは地味なことです。見積もりが壊れる

人月ビジネスは「この機能は5人日」という作業時間の見積もりが価値の単位です。AIで作業時間が1/5、1/10になると、「時間を売る」働き方の単価は構造的に下がっていきます。逆に、何をAIにやらせて、何を人が判断するかを設計できる人の時間は、希少になっていく。単価の構造がどう変わるかはこちらの記事に整理しています。

問いは「淘汰されるか、されないか」ではなく、「時間を売る側に残るか、AIに仕事をさせる側に回るか」
時間を売る働き方AIに仕事をさせる働き方
価値の単位作業時間(人月)設計と判断
単価の力学構造的に下がる希少性で上がる
AIとの関係競合してしまう任せる相手になる
評価のされ方消化した作業量成果と責任の範囲

それでも、SESエンジニアは消えない

一方で、はっきり言えることがあります。企業のAI活用は、ツールを契約しただけでは1ミリも進みません。現場に入って、その会社の業務とシステムを理解した上でAIを動かせる人間がいて、初めて進む。そういう人は今、明らかに足りていません。

だから常駐という働き方は、むしろ「AIを使える人材が企業の中に入っていく最短経路」になり得ます。SESという構造自体は消えない。ただし——ここはSESの会社が普通は書かないことですが——何もしない会社に所属していると、消える側のタスクに固定され続けます。案件を選ばず、育成もせず、ただ人を送るだけの会社にいる限り、身につくのは「なぞる仕事」だけだからです。

生き残る側に回る、3つの経路

① AIが使える現場を選ぶ。常駐先でAIに触れなければ、実務でのAI経験は積み上がりません。「セキュリティ的に無理」は思い込みになりつつあり、AI公認の現場は実在します。選び方は前回の記事に書きました。

② コーディングエージェントを「使う側」に回る。チャットAIに質問したことがある、ではなく、Claude CodeやCodexに実装を任せて、自分は設計と検証に回る——という仕事の型の転換です。触ったことがあるかではなく、開発の進め方が変わっているかが分かれ目です。一番速い練習方法は、自分が本当に困っていることを、AIエージェントと組んで最後まで作り切ることです。

③ 工程の上流に出る。AIの出力は、要件を決める人・設計を判断する人・結果に責任を持つ人がいて初めて仕事になります。この3つはAIが増えるほど需要が増える仕事です。下流のタスクをAIに任せられるようになった人から順に、上流に出ていける。

生き残る側に回る3つの経路。下の点線は「なぞる仕事のまま」の経路。
生き残る側に回る3つの経路。下の点線は「なぞる仕事のまま」の経路。

最後に:個人の努力と、会社の構造

3つの経路のうち、②と③は個人の努力でできます。でも①だけは、所属する会社の構造に左右されます。AIが使える案件を取りに行く営業、AIを前提にした育成、案件を選べる環境——これは会社側の仕事です。だから最後は会社選びの話になります。その基準はAIネイティブSESとはに書きました。

実装をコーディングエージェントに任せ、人は設計と検証に回る——この型への移行が始まっている。
実装をコーディングエージェントに任せ、人は設計と検証に回る——この型への移行が始まっている。

淘汰の波は来ています。ただしそれは「エンジニアの終わり」ではなく、時間を売る働き方から、AIに仕事をさせる働き方への入れ替えです。入れ替えには数年の猶予がある。その間にどちら側へ歩くかは、今日から選べます。

よくある質問

Q. SESエンジニアの仕事はAIでなくなりますか?
職業としてのエンジニアやSESという構造はなくなりませんが、「指示されたコードを書くだけ」「手順をなぞるだけ」のタスクはコーディングエージェントに置き換わりつつあります。AIに仕事をさせる側(設計・検証・上流工程)に回れるかが分かれ目です。
Q. 生き残るために、今から何をすべきですか?
①AIを公認で使える現場を選ぶ ②Claude Code等のコーディングエージェントに実装を任せ、自分は設計と検証に回る開発の型を身につける ③要件定義・設計・検証といった上流の仕事を取りに行く、の3つです。最初の一歩は、自分の課題をAIエージェントと最後まで作り切る経験です。
Q. 未経験からSESに入るのは、もう遅いですか?
遅くありません。むしろAIを前提に学び始められる分、従来の型で長くやってきた人より速く戦力になるケースがあります。重要なのは、AI活用が標準になっている会社を選ぶことです。
石田 陽希
石田 陽希
日本AIセンター株式会社 代表取締役CEO / FDE(Forward Deployed Engineer)
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