- 「やめとけ」と言われる理由は、実在する構造問題(多重下請け・下流固定・薄い手取り・案件ガチャ)。当事者として、ここは否定しない
- ただし「SESだから」ではなく「どの構造のSESか」で天と地ほど違う。悪いのはSESという契約形態ではなく、機能を果たさない会社の構造
- 見分ける質問は5つ。そしてAI時代のいま、構造の良いSESはむしろキャリアの最短経路になり得る
「やめとけ」と言われる4つの理由——全部、実在します
まず、批判を否定しません。ネットの「やめとけ」記事が挙げる問題は、業界に実在します。
① 多重下請けで単価が薄まる。エンド企業が払うお金が、間の会社に何段も抜かれてから現場に届く。単価の記事に書いた通り、商流が深いと、どれだけ良い仕事をしても単価に反映されにくい。
② 下流の作業に固定される。言われた作業をこなすだけの現場に入り続けると、スキルが「その現場限り」になり、市場で通用する形で積み上がらない。
③ 給与の根拠が説明されない。なぜこの給与なのか、何をすれば上がるのかが示されない。見通しが立たないまま働き続けることが、不信と消耗を生みます。
④ 案件を選べない。どの現場に行くかを会社都合で決められ、キャリアの主導権が本人にない。
これらは「ネットの誇張」ではありません。機能を果たさない会社に入れば、実際にこうなります。
それでも「SES=やめとけ」が雑な理由
では、SESそのものを避けるべきか。ここからが構造の話です。
上の4つは、SESという契約形態の問題ではなく、個々の会社の構造の問題です。商流が2次か5次か。給与の実額と根拠を示せるか。案件を断る権利が本人にあるか。育成に投資しているか。この構造は会社によってまったく違い、同じ「SES」という看板の下に、天と地が同居しています。

「SESやめとけ」という言葉の雑さは、この構造差を見ずに、契約形態ごと否定するところにあります。車に例えるなら、整備不良の車が事故を起こしたのを見て「車はやめとけ」と言っているのに近い。
入る前に見分ける、5つの質問
構造は、面談で質問すれば見えます。聞くべきはこの5つです。
1. 商流はどこですか?——エンド直・元請け直か、何次請けか。答えを濁す会社は深い。
2. 私の給与は、具体的にいくらになりますか?——率や仕組みの説明ではなく、実額で答えられる会社は、条件に自信がある会社。
3. 案件を断れますか?——本人に選択権があるか。「会社が決めます」なら主導権はない。
4. スキルシートと面談の支援はありますか?——選考の記事に書いた通り、ここを本人任せにする会社では消耗する。
5. AI活用と育成に投資していますか?——これからの市場価値に直結する。次で説明します。
AI時代は、構造の良いSESがむしろ最短経路になる
もう一つ、いまの時代特有の話をします。淘汰の記事に書いた通り、企業のAI活用は、現場に入ってその会社の業務を理解した上でAIを動かせる人がいて初めて進みます。常駐という働き方は、AIを使える人材が企業の中に入っていく最短経路になり得ます。
条件は2つ。AIを公認で使える現場を選ぶこと。そして、AI活用が働き方に組み込まれた会社——私たちの言うAIネイティブSES——に所属することです。この条件を満たすSESは、「やめとけ」どころか、AI時代のキャリアの入口として、正社員で一社に留まるより速くスキルと単価を積める可能性すらあります。
当事者としての結論
「SESやめとけ」記事を読んで消耗している人に伝えたいのは、こうです。辞めるべきなのはSESではなく、構造の悪いSESです。
そして私たち事業者の側に返ってくる宿題は、中抜きの記事の結論と同じです。批判に反論するのではなく、単価そのものを引き上げて手取りで示し、案件を選べるようにし、AIで本人の市場価値を上げる——「やめとけ」と言われない実例そのものになること。私たちはその方針で会社をやっています。

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